MMM 「壊れた信号」を公開しました。楽曲ページでお聴きいただけます。
MMM「壊れた信号」は、迷いや傷を抱えたまま、それでも未知の先へ駆け抜けようとする衝動を描く一曲だ。行く手を制御するはずの信号はすでに壊れ、正しさを示す地図も、冷え切った約束も、もはや進む方向を決めるものではない。立ち止まる理由を手放し、ためらった時間さえ推進力へ変えながら、現在の一瞬にすべてを懸ける切迫した決意が貫かれている。
歌詞の中では、息を切らした街が背後へ遠ざかり、雨やノイズに包まれた道が広がっていく。街から離れるほど、雑音の向こうにある声はむしろ近づいてくる。その感覚は、外側の評価や常識から距離を置くことで、心の奥に残っていた意志が鮮明になる過程のようでもある。行き先が定まっているから走るのではなく、まだ誰も知らない場所に呼ばれるまま進む姿が鮮烈だ。
後半では、濡れた背中や数え切れない傷、届かないと笑った声が示される。しかし、それらは主人公を押し戻す重荷ではなく、やがて追い風へと反転していく。翼が損なわれていても空を求め、落ちる可能性すら恐れず前へ出る姿には、痛みを克服して無傷になるのではなく、壊れた部分ごと力に変えようとする激しさが宿る。
そして物語は、限界の縁で心を奮い立たせ、夜明けへ食らいつくような境地へ向かう。消えかける灯が残す最後の一秒まで終わらせず、その先を目指す意志は、絶望を打ち消すというより、絶望の只中から声を放つ決断として描かれる。制止も保証もない世界で、自らの衝動だけを道標に走り続ける熱が、題名に込められた危うさと希望を浮かび上がらせている。

